しもんぬ

ローマに消えた男のしもんぬのレビュー・感想・評価

ローマに消えた男(2013年製作の映画)
4.4
久しぶりに現れた双子の弟ジョバンニを「自分の中に眠ってたもう一人の自分」と捉えるような見方は、かなり無理があるとは思いますが、でも僕はそう観ました。この作品、冒頭とラスト以外は、いわゆる"中年の危機"と呼ばれる精神状態に陥った男の内面宇宙が描かれてると思います。

昔の彼女が都合の良い形で出てきたり、電話で繋がる(対話が成立する)のは双子間のみだったりと、なんだか全体を通して奇妙な空気が漂ってることと、途中でフェリーニのインタビュー映像が流れた事がそのような自由過ぎる解釈に至った根拠です。

最初真逆に演じ分けられてた双子の人格が、だんだん見分け辛くなるほど似通ってくるのを「一度分裂した心のバランスが再び整い始めてるんだ」という風に捉えると、謎多きラストもなんとなく腑に落ちませんか?(エンリコ/ジョバンニ同一人物説)
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