ジェームス・ディーンの話というよりは、ジェームス・ディーンという非凡な才能に救われた一人の平凡なカメラマンの話。
燻る若者の青春映画には弱い。
ディーンという天才の近くにいながら才能を発揮できないデニスの駄目さにイライラしてしまった。ああ、お前はダメだよ。君の唯一の才能はジェームス・ディーンに出会えたことだけだ。
才能がありすぎて悩むジミーと才能がなさすぎて悩むデニスの一瞬の青春。
カメラは凶器。撮る者は被写体の魂を吸い上げそれを金に換える。その暴力性。カメラマンであるアントン・コービン監督はその加虐性に自覚的。
デニスがジミーを利用したことは事実であり、その友情は偽物だったかもしれないが、その一瞬の出会いは確かに美しかったのではないかと信じる姿勢。そんなバランス。
さすがにアントン・コービンなので構図や色は美しい。
ちなみにデイン・デハーンといい、ジェームズ・フランコといい、ディーン俳優はグリーンゴブリン顔なのか。
【一番好きなシーン】
『エデンの東』のプレミアをすっぽかそうと、デニスのアパートに来るディーン。断るデニス。切ない。