なっこ

ディーン、君がいた瞬間のなっこのレビュー・感想・評価

ディーン、君がいた瞬間(2015年製作の映画)
2.9
ジェームス・ディーン

あまりにも有名なその俳優の姿を実はスクリーンで見たことはなくて、彼のイメージは専らこのデニスの撮った写真が作り出していたのだと気づかされる。

それってすごいことだ。

写真は、その瞬間そこに居たことの証明になるというけれど、映画もまさにそうだと思う。演技だとわかっているけれど、その瞬間そこに居てそこで生きている。スクリーンの向こう側で、そこに流れる時間は永遠になる。リテイクだとか、編集だとかそんなことは抜きにして、その向こう側の時間が確かにあるのだと思わせてくれるものが、名画であり名シーンなのだと思う。
そういう意味で、ディーンが故郷インディアナへ向かう列車の中で過去を語るシーンには引き込まれた。実在の人物を演じているとか、そんなことはもうどうでも良くなって、目の前にいるこの純真な青年に私も恋をした。

写真家デニスが主人公なのか、それとも伝説となったディーンを描きたいのか、どっち付かずの面もあるかもしれない。
それでも、私はこの映画によって早すぎると言われた死は、本人にとっては実はそうではなくて、もう十分だというところで
彼は還るべきところへ還っていったのではないだろうか、、、
情緒あるラストシーンを見ながら、そう納得させられてしまった。
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