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地下に潜む怪人のミスターのレビュー・感想・評価

地下に潜む怪人(2014年製作の映画)
3.5
賢者の石の発見のために世界を奔走する考古学者が、地下墓地の中で恐ろしい体験をする話。

邦題と原題が全く違う上に、原題が内容を的確に表している上になかなか洒落たものなので、チープな邦題のせいで食わず嫌いの対象になりそうなのがもったいない。モキュメンタリーホラーの要素を加えたダヴィンチコードという感じ。登場人物、特に主人公のスカーレットが自分勝手でかなり不快だが、それもモキュメンタリーホラーでは馴染み深いものなので、この類の作品に慣れているならそこまで厳しくはない。個人的にそれよりも少し気になったのは、主人公の知識が深すぎる上に思考がかなり早いので、一つ一つの判断がどのようになされているのか追いにくい点。こちらの知識がないのが原因と言われればそれまでだが、よくわからない横文字がひたすら垂れ流されるので、そこは少々退屈。
ただある出来事から一気にパニックが加速し、グロ描写も増え、モキュメンタリーらしいスピード感のあるホラーの連打は非常に魅力的。少なくともモキュメンタリー好きからすると、洞窟という閉所ならではの緊迫感と、ブレアウィッチ的な脱出不可の絶望感が相まっていて、なかなかの絶望感。正直なところ、自身の罪と向き合わされるラストという展開が微妙には感じる。罪と向き合いそれを認めるだけで罪が消えるわけではないし、賢者の石という錬金術、つまりはファンタジーの中でも科学サイドの存在に宗教的な側面を加えたことへの違和感がある。とはいえ、モキュメンタリーホラーが好きな人は十分に楽しめる佳作ホラー。
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