春とヒコーキ土岡哲朗

ミッション:インポッシブル ローグ・ネイションの春とヒコーキ土岡哲朗のレビュー・感想・評価

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また違う、超かっこいい映画。

前作とは違う方向で戦っている。アクションをここまでてんこ盛りできるのかと衝撃と感動を与えてくれた前作。そのハードルで迎えた今作は、アクションの数こそ減ったものの、ストーリーの比重を増やし、サスペンスとアクションの融合として攻めてきた。毎回趣向が変わるオープニングの導火線映像も、今回は、『1』の「ストーリーに関わる場面のフラッシュフォワード」と前作『4』の「アクションシーン先取り紹介」を混ぜ、アクションとストーリーの融合をはっきり示していた。一本の映画で全てを網羅しようとせず、毎回違う攻め方をして、シリーズ全体で「多種多彩」というバランスのとり方をする、守備範囲、もとい攻撃範囲の広いシリーズだ。

男4人感、かっこいい!最近の映画は、男向けのアクションやヒーロー映画に、いかに女性客を呼べるかが商業上の成功に関わる。敵か味方か謎の女で、そこは補完している。しかし、あくまで絆の強い仲間は、男だけに限定している。初期3作での相棒ルーサー、『3』から登場の技術者ベンジー、前作から登場のキャリア系のブラント。それぞれ、イーサンとの付き合いの長さが違う。だから、みんなで仲良しというわけではないが、イーサンを信じる男たちとして、絆が見えてくる。

最後、敵を透明の板で囲み、四方には4人がそれぞれ立っている。おれらに大変な思いをさせ、世界を壊そうとしてくれやがったな、でも、これでお前は終わりだ、と告げる、圧倒的な正義執行の立ち姿。前作はミサイルの爆破をオフにする派手なフィナーレだったが、今回は、人間の魅力でそれに並ぶフィナーレをやってのけた。

とはいえ、怒涛のアクション。前作と比べたら、アクション成分は減っているが、それでも怒涛のアクションに変わりはない。飛行機にしがみつき、拷問から逃げ、オペラ会場で暗殺を阻止し、水に潜り、車で走り、バイクで走り、イギリス首相を捕まえ、黒幕と銃撃戦。オペラ会場では、どこに敵がいるのか分からないハラハラや、トリッキーなステージでの肉弾戦、二人の狙撃者からどうやって暗殺対象を守るかという判断、心技体が詰まっている。水中に潜る姿は、ストーリー上の意味を持たせてはいるけど実際にはただ俳優トム・クルーズがすごいアクションをするためのシーンということが隠せてなく、そのミッション挑む男トムを楽しんだ。