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消えた声が、その名を呼ぶのgenarowlandsのレビュー・感想・評価

消えた声が、その名を呼ぶ(2014年製作の映画)
4.2
トルコはいまだアルメニア人へのジェノサイドを認めていない。この作品は、トルコ移民の監督が作ったことに意義がある。トルコによって家族離散したアルメニア人の男が家族を探しに、砂漠、ジャングル等々、9年かけて地球を半周して危険な旅をする話。アルメニア人虐殺と世界に散らばって生きる(ディアスポラ)しかなかったアルメニア人の悲劇を描いている。

長めではあるが、ドラマチックな展開に最後まで惹き付けられた。

原題は「カット」。喉をかき切られたこと、断ち切られた家族、傷つけられたアルメニア人、そしてトルコがジェノサイドの存在を無視していることを重ね合わせた端的な表現だと思う。

劇伴もすごくよかった。時々ロックがかかる。Alexander Hackeのオリジナル。


コーカサス地方の他の作品のレビューにも書いたけれど、アメリカにいたとき、最初のルームメートがアルメニア人留学生だった。最初の晩、彼女はトルコによるアルメニア人虐殺の話とアルメニアへの報復でロシアがエネルギー供給を断ち、室内で祖父が凍死した話をした。また、敬虔なキリスト教国のアルメニアにとっての御神体のようなアララト山(ノアの方舟がたどり着いたと言われている)がトルコ領にされたことも熱く語った。外国人に会ったら必ずする話だそうで、アルメニア人としてのミッションのようだった。
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