KentF

消えた声が、その名を呼ぶのKentFのレビュー・感想・評価

消えた声が、その名を呼ぶ(2014年製作の映画)
4.1
不合理と無慈悲に翻弄され、怒り、抗う男の、宗教的抒情詩。
アルメニア人虐殺が物語の骨格ながらも、誇張せず、かと言って矮小化することもない。適度な距離を保ちつつ、家族愛や信仰といった普遍的な主題を描き切る、ヒューマニズムの新たな傑作。
20世紀初頭が舞台ながら、特に前半は、古代・中世を感じさせる。進むにつれ、近代色が強くなるが、それが映画の主題の普遍性を際立たせている。
荒野を彷徨うシーンが、立ちはだかる途方もない試練をまざまざと表し印象的。
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