ゆず

さよなら、人類のゆずのネタバレレビュー・内容・結末

さよなら、人類(2014年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

散歩する惑星・愛おしき隣人はおろか、過去監督作を1本も見たことはない。事前視聴も間に合わなかった。でも予告がすごく面白そうだったので映画館へ。全部灰色や白やクリーム色が混ざってるような、落ち着いたトーンの色合い、顔色の悪い人たち。淡々と繋がれていく日常の断片。アップが無く、視力悪い&眼鏡の度が合ってないせいもあって表情はほとんど見えずwなんだろうこれ?なんだろう…すごく変な映画だ。

年代が切り替わったり入り混じったり、日常の中の死だったり、本人にとってどれだけ大問題でも他人からは割とどうでもよかったり、逆に笑えちゃったりする妙な感じ。悲劇なのに喜劇。天丼多いのにずーっとクスクス笑い続けてたきがする。全ての人間に過去や日常があるはずなんだけど普段気にかけないで生きてるのが不思議だな。鳩の詩が聞きたかった。レストランの前で電話してた彼は何を勘違いしてたのだろう。銃を持っていたおじいちゃんは何に絶望していたのだろう。(電話してる人たち全然元気そうじゃないようww)
猿の方は、またも電話を挟んでブラックな笑いも孕んでいたけれど、続くファラリスの雄牛的なアレが映っている間だけは…完全に現実に引き戻されて、映画の世界から抜け出してしまったなぁ。あれはサムの見た悪夢だったのかな。

間や繰り返される音楽や台詞、動かないし寄らないカメラアングルと、一画面に収まってても人によって違う視線や反応や温度差があってシュールだったりブラックだったりな笑いがじわじわこみ上げてくるの好きだなー。特に笑ったのは犠牲になるイケメン2人とガラス越しの修羅場、突然始まったバーの歌。印象的だったのは子供達のシャボン玉と窓際で1本の煙草を吸う恋人たちと彼の何気ない台詞。
ハリポタの世界の美術館ってこんな感じなのかな、とか思いながら見ていた。そういえば私、この映画って完全に他人ごととして見ていたなあ。カメラも固定だから監視カメラの映像をポチポチ切り替えて見てるみたいで、ほとんど感情移入してないと思う。だからこそ笑いながら見ていられたんだけど。

悲惨なのに笑えて、淡々としてるのに温かい。妙な距離感の映画だった。監督が伝えたいことを汲み取れてる気は全くしないけど、この間の取り方や色や空気感、クセになるなぁ。
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