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あやつり糸の世界のkumiのネタバレレビュー・内容・結末

あやつり糸の世界(1973年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

70年代初めに西ドイツで制作されたSF映画で
「マトリックス」「インセプション」の先駆けとなる
仮想・多層世界を見事に描き出している。

監督はライナー・ヴェルナー・ファスビンダー 。


↓ネタバレありますのでご注意↓
























第1部の初めの映像はベルトルッチ監督「暗殺の森」を思わせる
素晴らしき構図だったのですが、場面が進むにつれ
そこにそんな尺、必要?な箇所がちらほらと。
特に第2部(1&2 合計3時間ちょっと)は。

面白いと感じたのはバーチャル世界へ行って帰ってくるときの
大きなカギとなる公衆電話。そう、マトリックスと同じ。
あちら側にいる人からの電話を受けると、煙のように体が消え、
電話線の回路に吸い込まれて現実世界に意識が戻り、目覚める。

そして仮想世界にいる人物たちは
自分たちが【ニセモノ】であることを知らない。

知りすぎてしまったら最後、自分のデータは抹消され
最初から存在がないようにされてしまう。
現実社会も似たようなものだけれど。

、、、っとかなり深いところまで書いてしまったので
ここまでにしますが、ものすっごい皮肉なのかな、と
感じた箇所をひとつ。

仮想世界のほうが優雅で豪華な生活をしているのに
現実世界に戻ってきた途端、グレーの壁に無機質な家具、
服装もシンプルでつまらない。つまりダサイんです。

夢を見るためにも仮想世界では
理想の生活を作り出していたのかも。
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