■RWと48の地獄⑫
奪われた体の一部を取り戻すため、RWは大晦日までに48の魔物を倒さねばならない!奴等は地獄映画の中に潜んでいる…
□戦績
みなさま、大変です。わたしはこのたび一つの重大な、そして巧妙に隠されてきた真実を発見してしまいました。
わたしたちが住む国、この日本は…
― かつて一度、滅んでいます。
そしてその証拠こそが、何を隠そうこの一本の映画なのです。
これは70年代の城崎温泉を舞台にした人情と痴情と色情の物語…に見えます。しかし、そこで話されている言語や通用する道徳は、現代のわたしたちが知る日本とは似ていながらにしてまったく異形のものなのです。
まずタイトルからして、『温泉スッポン芸者』。
『温泉』、『スッポン』、『芸者』。
何の苦も無く読めるのに、これほど理解できない文言がかつてあったでしょうか。およそ素面の常人が考え出せるタイトルとは思えません。
ここには、失われた旧・日本とも呼ぶべき古代の言語が確認できるのです。劇中からも、いくつか文例を引いてみましょう。
・「天然のスッポンにこだわりさえしなければ…」
・「むやみに分泌液を出すな!(中略)君は二グ■に改造しよう」
・「雷が鳴るまで吸い付いてるなんて、あんたスッポンの申し子だよ」
・「童貞のままキ●ガイか~アハハハハ」
…
おわかりいただけたでしょうか。確かに此処にあった、そして今は何処にもない、いにしえの複雑怪奇な文法の響きが…あるいはこれは何かの祝詞だったのかもしれません。
しかしおぞましくもありながら、抗えない魅力があるのも確かです。わたしが考えるところ、その源泉とは「明るさ」でしょう。
生きてればきっと何とかなる、明日は今日よりも良くなる…このあけっぴろげに性と生を謳歌する楽天的な明るさもまた、今の日本にはないものであり、登場人物たちを生き生きと、爽やかにすら見せるのです。
最後にひとつ、正直に申し上げておきましょう。
「なんだかちょっぴり、羨ましかった」と。
□倒しかた
地獄…というには普通に楽しめてしまった。
YAMAHAに跨り、裾をなびかせながら海辺を駆るスッポン芸者の姿(with謎のテーマソング)とか、美しくすらあった。
異様に軽快なテンポ、下ネタの概念が覆るショック、小学生女児が普通に出演してるマッドネス。貴重な遺産です。
□分類
オーパーツ・すけべ地獄
□取り戻したパーツ
浪漫
□次回予告
断絶!「ラー●●●ール」!
-----
for ろく様
https://filmarks.com/movies/59303/reviews/117511069