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生贄夫人のmasatのネタバレレビュー・内容・結末

生贄夫人(1974年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

異様な話なのに、なぜこんなにあっけらかんとしているのだろうか?田中陽造のホンは凄い、それを的確に浮き上がらせる小沼勝の演出も凄い。

自殺した女を屍姦すると、なんと蘇生する、まるでセックス発電!激る下半身の威力で息を吹き返す。流石『木乃伊の恋』(70)の名脚本家だけのことはある。
そんな役が、後のスター東てる美のデビューの瞬間。
やがて心中しようとした青年も甦り、四つ巴の乱行を繰り広げる。世を捨てた男と女と、一度死んだ若いカップルが、蛮行の果てに生き生きと艶やかな輝きを放っていった・・・一体どこへ向かおうと言うのか?
その先に現れし無常感、いや穏やかなる大自然に包まれし時間。この世から遠く離れ、こんな縄と蝋燭と死姦の空間に、ラスト、牝犬の散歩をする二人の姿に妙な安らぎが漂う。

しかし、男は、去っていく。
強靭な縄に包まれた悦び絶頂の女を残して。

この男、なんとも異様であった。
小学生の幼気な少女を、彼女のアソコを、台詞で言うと「大きくしていた」のだ。
幼気な少女は、当然、その芽生えたものが忘れられない。だから最愛の人に、小さな体で歓びいっぱいに逢いにきた。
ラストカットは、そんな男と女が、深い緑に彩られた山を下りて行くのである。
ゾッとするような、地獄へ堕ちて行くようなラストカットだが、ここがまた不思議で、カラッと穏やかに落ち着いているのだ。
いや、ラストカットは、次だ。
残された女の有り様。“放置プレイ”に悶える、キツく縄に守られた女の姿である。
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