もやし

幸せをつかむ歌のもやしのレビュー・感想・評価

幸せをつかむ歌(2015年製作の映画)
5.0
少し変わったタッチだけど、本当に優しい優しい心底から元気づけられる映画でした。

生きてて幸せなことなんてほとんどないし、無難に生きるなんてことはできるわけない、ということを大前提として、その上で幸せって何なのかっていうことを正面から描いた、自分なんかには及びもつかないような領域の深い人生愛に満ち溢れた作品と思った。

主人公のどこか抜けててスマートに生きられないけど、とても思いやりがあって情熱的な強い人生観のようなものがある感じっていうか、本当に良い人だなと思った。
主人公は家族を捨てて音楽を選び、今もパートをしながら貧乏生活の中でもなんとか続けている。
娘が浮気されて離婚して、酷く塞ぎ込んでいるという連絡を元旦那から受けて20年ぶりに家族に会いに行く。
元旦那は何の仕事をしてるのかわからんが、とても金持ち。
糞デカイ家に案内されて早々に娘に罵倒される。
娘は母親のことを今でも恨んでるし、悪口ばっかりなんだけど、でも母親のことを完全には嫌いになれない。常に冷笑的なんだけど、妙に母親の提案を素直に受け入れたりして何とも言えないこの感情。
息子も二人いるんだけど、二人共全く違うタイプなんだけど、やはり母親には何とも言えない感情を抱いてる。
元旦那もとても常識的で穏やかで優しくて、なんだけどどこかやっぱり不安定さがあるというか、まあ人なんだから当たり前か。
本当に登場人物がそれぞれなんというか重い笑
元旦那の奥さんがまたこれねえ、快活だし思いやりもあるしもう本当に誰もが好きになるような人なんだけどね、なんというか、どこかゾッとする感じっていうのかな。なんか引っかかる感じね笑
本当に説明が難しい感じの人。
あとは恋人の、社会的には駄目な人ってことになってしまうのかもしれないけど本当に愛情に溢れた人な感じが良かったなあ。好きだあの人。
あとはパート先の店長の笑顔を顔に貼り付けて説教してくるあのすげえ嫌な感じとか、久しぶりに会った認知症の姑があなたのことなんやかんやで嫌いじゃないわよ、今の奥さんは正直嫌いだわ、みたいな感じとかね笑
挙げ出したらキリないけど。

家族の関係性も簡単にはいかないし、自分の人生自体も上手くいかないし、ドラマのようには全然いかない何もかも。でも何かふとした瞬間に幸せというか、本当の感情というか、そういうものがチラッと見えてそれがたまらなく切ない。

ジョークがやたら面白かった笑
こういうとあれだけど大人のジョークって感じ笑
結構笑った。

あと編集がめっちゃ良かった。
切る所は本当にズバッと切る。
でもそれで軽薄な印象になったり全然しない不思議。

上手く書けなかったけど本当に全力でオススメの映画です!
もやし

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