常盤しのぶ

キングスマンの常盤しのぶのレビュー・感想・評価

キングスマン(2015年製作の映画)
4.5
本作以上に『きたねえ花火だぜ……』が似合う映画が他にあるかい? アクション要素の多いスパイ映画と話には聞いていた。が、限度ってモンがあるでしょうがッ!! なんだあの教会のシーンは!! 特定の宗教への信仰に対して中指をおっ立てるようなマネはよしなさい!! だがそこがいい。アクションシーンで度々出てくるひみつ道具がいちいち心をくすぐってくる。傘は憧れちゃうなぁ。ガラえも〜ん、義父がママをいじめるんだよぉ〜しょうがないなぁエグ太くんは。

”Manners, maketh, man.”礼節が人を作る、という本作屈指の名台詞。あのシーン大好き。銀のスプーンを持っていようがいまいが、礼節や作法を身に着けてこそ人は人たりえる。要するに人間に大事なのはTeam work、というわけですな。他人を思って行動することこそがMannerである、と。だからこそ彼は試験に落ち、彼はダークサイドに堕ちた。マナーがなっていなかったからだ。

キル・ビルみたいなホッピング女が良かった。ヴァレンタインに対して冷たくあしらうのも良き。本作のアクションが他と毛色が少し違うと感じた原因はおそらく彼女の戦い方に由来するものだろう。あとは教会でキレ散らかしたガラえもんか。教会での暴力シーンも狂っていて見応えがあってとても良かった。マナーはどこへ行ったマナーは。ああいう狂った暴力シーンはアドリブが多分に含まれているのかと思うと、コリン・ファースの凄さを改めて思い知る。

アクションが常にキレッキレでアクション映画としてはとても満足のいく映画だった。が、スパイ映画と言われると『スパイ映画……??』とどうしてもなってしまう。好きなんだけどね。スパイ映画としてはやはり裏切りのサーカスの方が好きだなぁ。

マーリンが好き。敵地へ侵入する時に『やるぞぉ〜』って感じで手を擦るのがかわいい。最初は厳格で冷徹な印象を与えておきながら時間が経つにつれてゆるキャラ成分が多くなっていくのがかわいい。最後『見てらんないや』ってディスプレイを閉じるのもかわいい。私はかわいいおっさんに弱いぞ。