ちょげみ

キングスマンのちょげみのレビュー・感想・評価

キングスマン(2015年製作の映画)
4.0
スパイ映画の金字塔的作品である「ミッションインポッシブル」や「007」があまりにも強いため、これらの下位互換的作品になっていないかはなはだ心配だったのだけれども、まあ見事なまでの杞憂でした。

スパイ映画の先行作品とは棲み分けがなされているし、一線を画している、というよりは一線を引いている作品でした。


本作の中でとりわけ意外で印象に残ったのは、"紳士たれ"という人間が歩むべき模範的な(?)生き様をテーマとして強く押し出していること、そしてそれが不遇な落ちこぼれ主人公の成長譚とマリアージュを奏で、真っ当なサクセスストーリーとしていい味を醸し出している事ですかね。
これが本作を"享楽的グロバイオレンス映画"の一言で切って捨てられない所以でもあるといいますか。


今もなお脳内で反響しているセリフは何個かあって、その一つが「マナーが、作るんだ、人間を」です。
これが結構ガツンとくるところがあって、例えばナポレオンか誰かの名言である「人は纏った制服どおりの人間になる」とか
「人を作るのは所詮は立場」みたいな話にも通じるのですが、やっぱり人が環境から受ける影響は絶大で、環境次第で人は名刀にも鈍刀にもなってしまうみたいですね。

ダウンタウンで育った主人公もスパイ育成ゲームに興じる前は可能性を秘めてはいるけどもパッとしない半不良みたいな男だったのですが、訓練を受けていく中で才能が開花されピカピカに磨かれたダイヤモンドに変貌しまう。
その過程はやはり見ていて気持ちいいものですし、応援しがいもありましたね。


でもまあ、本作の一番の魅力はなんと言ってもアクションシーンですよね。
特に教会のシークエンス。これどうやって撮ったんだ?しかもワンカットで?みたいな驚天動地のアクションシーンの衝撃は未だ尾を引いています。
それに負けず劣らず強烈なのがラストの爆発シーン。
汚ねえ花火だ...という言葉が真っ先に頭に浮かびましたけれど、いかんせんすっぱり割り切りすぎてる笑。
一応彼らもあの作戦の加担側だけど四捨五入すれば罪なき人々だよ?笑みたいな人々もバッサリ切り捨てコメディちっくに描くあのシークエンスには抱腹絶倒です。

しかしそこがキングスマンの魅力なのかもしれないですね。
アクションシーンで観客を快楽漬けにするというか、威力増大のバズーカを矢継ぎ早に繰り返しているといいますか。。。


まあそんなわけで、やはりメインを張っているのは流麗かつ臨場感マックスのアクションなのですが、そこに華を添えるような形で展開されるヒューマンドラマもまた見事ですね。
自分の中でミッションインポッシブルに並ぶベストオブスパイ映画になりました。
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