煮ても焼いても喰えない8人の疑心暗鬼を観る映画。
駅馬車の休憩小屋的な洋品店での一夜の物語。
西部劇の緊張感って独特ですよね。殺すか殺されるかの世界で生きて行くためには、騙しの罠に掛からないように、臆病なくらい相手を疑らないといけません。
優位に立って油断していると、気が付いたら形勢逆転している、なんてことになってしまいます。
そんな緊張感をアクションではなくて、会話劇でやってしまうわけですよ。すごいですね。しかも、2時間48分。疲れました。
実はタランティーノ監督の作品を観るのはこれが初めてなんです。
グロいシーンも結構ありましたが、「どうだ、見てみろ!」って感じではなくて、さり気なくスゴイのを挟んでくるんですね。
黒人差別の言葉が終始出て来ますが、そこにはクローズアップせずに当然のことのようにぶち込んでいるように思いました。
そんなところが印象的でした。
印象的と言えば、雪の中を進む馬に圧倒的な存在感を感じました。力強く、しなやか。用意された舞台に人間を運ぶ役割なのでしょうか。
なんでもないドアのくだりを何度も繰り返し映します。そこが地味に気に入りました。
こだわりの監督なんでしょうね。気が付いていないこだわりがいろいろあるように思いました。
あ、音楽がいいです。
極上音響爆音試写会にて。
【追記】
プロダクション・ディレクターの種田陽平さんのインタビュー記事が面白いです。タランティーノ監督の映画作りの現場とこだわりを垣間見ることができます。
http://www.webdice.jp/dice/detail/5037/