kkkのk太郎

ゴジラ キング・オブ・モンスターズのkkkのk太郎のネタバレレビュー・内容・結末

3.7

このレビューはネタバレを含みます

怪獣大進撃映画「モンスター・ヴァース」シリーズの第3作にして、ハリウッド版『ゴジラ』シリーズの第2作。

ゴジラvsムートーから5年。彼らの戦い以降、世界中で巨大生物(タイタン)が発見されることとなり、その管理は秘密組織「モナーク」によって執り行われていた。
モナークの科学者エマ・ラッセル博士は「オルカ」という装置を開発。これによりタイタンをコントロールすることが可能となったのだが、とあるタイタンとの接触中に環境テロリスト集団が襲来。エマとオルカ、そしてエマの娘マディソンがテロリストに拐われてしまう…。

○キャスト
ヴィヴィアン・グレアム…サリー・ホーキンス。
芹沢猪四郎…渡辺謙。

新たなキャストとして、オルカを開発したモナークの古生物学者、エマ・ラッセル博士を演じるのは『エスター』『死霊館』シリーズのベラ・ファーミガ。
エマの娘、マディソン・ラッセルを演じるのはテレビドラマ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』のミリー・ボビー・ブラウン。

いやぁ、驚きましたー。
まさかゴジラ映画で、一番のモンスターは毒親だという物語を描くとは思ってもみなかった…💦
マジでエマとかいう怪獣気狂いオバさんはなんだったんだ…。

本作の雛形となっているのは本多猪四郎/円谷英二のゴールデンコンビが手がけた怪獣映画『三大怪獣 地球最大の決戦』(1964)。
ゴジラ、キングギドラ、モスラ、ラドンという座組はこの映画をそのまま踏襲しています。
ちなみにこの「三大怪獣」とはゴジラ、モスラ、ラドンのことを指しており、彼らはそれぞれ単独で映画の主役を張っていた存在。つまり、この『三大怪獣』はマーベルやDCよりも遥かに早く、シェアード・ユニバースという概念を映画に取り込んでいた訳ですね〜。東宝すご〜い👏

昭和ゴジラが雛形ではありますが、映画の内容は「平成VSシリーズ期」のゴジラそのもの。ゴジラと敵対怪獣の激しいバトル、そしてそれにいっちょかみしてくる人間たち。いやこれ昔めちゃくちゃ観てたやつやん!
基地の中なんかのセットもめちゃくちゃ平成ゴジラっぽい。本作のキャストをマーク・ラッセル=高嶋政宏/アラン・ジョナ=高嶋政伸/エマ・ラッセル=沢口靖子/アイリーン・チェン=長澤まさみ/軍人のおばさん=釈由美子/モナークの偉い人=中尾彬/海軍の偉い人=ドン・フライにすればもう完璧に平成ゴジラになりますね。うん、こっちのキャストで見てみたい!😂

まさかのバーニングゴジラ化は平成世代には嬉しいオマージュ。展開的には平成『ガメラ』シリーズやテレビゲーム「ファイナルファンタジーⅦ」を想起させるなど、ハリウッド映画なのにも拘らずニッポンのサブカルが大きく花開いた90年代の臭いがぷんぷん漂ってくる非常に奇妙な作品でした。

平成ゴジラシリーズっぽい映画ではありますが、映像のレベルは当然ながら段違い。超美麗でハイクオリティなCG怪獣たちが、地獄のような大破壊を繰り広げてくれます。景気が良い!
怪獣たちのキャラクター性も上手く表現出来ており、特にキングギドラが可愛らしい😊
「三ツ首って大変なのよ…。左右の奴らと意思疎通が上手くいかなくってさ…🌀」なんて愚痴ってそうな、真ん中の首のやれやれ感が良い味を出してます。

あと今回はやはり音楽。ついにあの!あのゴジラのテーマがハリウッド版でも流れたのです!やはりこれが無ければゴジラじゃない。
いやもうほんと惚れ惚れするほど素晴らしい楽曲ですよねこれ。伊福部昭さん、本当にあなたは天才だっ!!
さらに!ゴジラだけではなくあのモスラ〜やモスラ〜なモスラのテーマ曲まで!うーん、やっぱりモスラのテーマは良い…。古関裕而さんの作曲も見事!
ゴジラのテーマとモスラのテーマ、それぞれがちゃんと流れるんだから、それだけでもうグッと親指を立てるしかないでしょうっ!👍

怪獣バトルが大迫力だったので、それだけで合格ラインは十分にクリアしている。…んだけど、裏を返せば怪獣バトルしか見どころがない。予想はしていたが、やはり人間ドラマパートが死ぬほどかったるい。
モナークサイドのあれこれも、環境テロリストサイドのあれこれも、どっちも1ミリも興味ないんすよ。どうせ怪獣が暴れてめちゃくちゃになるんだし。

怪獣たちのユニークさに比べ、人間側のキャラクターの書き割り感は半端ではないし、とにかく扱いが雑。マイケル・ドハティ監督、多分人間に全く興味ないんだと思う。
サリー・ホーキンスが死ぬところなんてあれ何!?世界中の俳優賞を取りまくってる名優をあの扱いって、本人は納得してたのかしらん?

オキシジェンデストロイヤーのムダ撃ちももったいなかったよなぁ…。あのせいで”敵も味方も全員バカ”みたいになっちゃったし。
54年版ゴジラをオマージュした芹沢博士特攻大作戦も、まぁ確かに「おっ!そう来たか!」とは思ったんだけどさ。昼寝の最中に鼻先で核爆弾撃ち込まれたら、例えそれがエネルギーになるとしてもゴジラさんブチギレるんじゃね?感動的なシーンのはずなのになんか展開がバカっぽいんですよね…。

放射能の扱い方もなんかねぇ…。ゴジラの放射線量ってヤバいんでしょう?それならもうマーク博士も娘ちゃんも軍人さんたちも、ボストンにいた人たちは皆めちゃくちゃ被爆してんじゃない?
核の恐ろしさのメタファーとしてのゴジラ、その初代が持っていたスピリットを疎かにして欲しくはなかった。

まぁ怪獣がいっぱい出て来て楽しかったんだけど、映画の完成度としては前作『キングコング:髑髏島の巨神』(2017)の方が圧倒的に上。人間の扱い方に雲泥の差があったように思う。
怪獣バトルと逃げ惑う人々。下手な人間ドラマを全て省き、この2点のみをじっくりと描いてくれればそれだけでかなりの良作になったはずなのに、いやはやなんとも勿体ない。
怪獣パートと人間パートを別々の監督に撮らせるとか、なんかそういう手立てを考えていかないと怪獣映画の傑作を作るのは難しいのかも…😓

最後に一言。まさかカタカナが古代文明文字に由来したものだったとは…。本作一番の驚きはそこだったかも知れません…。
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