ササキ・タカシ

ブライアン・ウィルソン ソングライター PART2 孤独な男の話をしようのササキ・タカシのレビュー・感想・評価

2.0
僕が最も敬愛するバンド、ザ・ビーチ・ボーイズの中心メンバーであるブライアン・ウィルソンにまつわるドキュメンタリー映画第2弾。今回は伝説の未発表アルバム『スマイル』の製作が頓挫したことで廃人同然となった60年代末期から、バンドと完全に決別するまでの80年代前半までの時期の話。

前作のパート1は、関係者や専門家などの内外の人間が絶頂期のビーチ・ボーイズにおけるブライアンのソングライティングに関するエピソードを中心にして、いかにブライアン・ウィルソンが偉大かを語る内容だったが、今回は数名の批評家がバンドにとって冬の時代だった70年代の彼らの動向を比較的外側の視点から解説したわりとスタンダードな伝記ドキュメンタリーになっている。ブライアンが精神的にダメになっちゃってドラッグまみれだった一番酷い時期の話なので何せトーンが暗い。終始暗い。いや、それはまあ別に良いんだけど、前作の特色だった「当事者たちの解説付きでブライアンの名曲を鑑賞できる」っていう要素が今回ほとんどなくなっててうーんそれが楽しみだったのにな、名曲をポンポンと連発していた時期でもないからしかたがないのか、いや、にしたってさすがに曲を流す時間が短すぎやしないか、ワンコーラス流れてる曲が一曲もなかったぞ。

例によって目新しい新事実が語られるわけでもなく資料的な意味での網羅性も乏しいのだが、70年代のビーチ・ボーイズのアルバムを聴いたことがないリスナーにとっては、ディスクガイドとして最適な映像かもしれない。僕も大好きな『サンフラワー』と『ラブ・ユー』といったアルバムが絶賛されている。スティーヴン・ジョン・カリニッチとのコラボレーションやアメリカン・スプリングなどのバンド外の仕事に関するエピソードは興味深かった。
ササキ・タカシ

ササキ・タカシ