なるほど劇的な“味変“に驚いたーーなので絶賛したいところだけど、少しモヤモヤもあった。この味変はネタバレを踏まずに味わうのがベスト。
もともとヒューマンドラマは苦手で評価が高いものは一応チェックはするものの、大概スルーしがち。本作も以前から興味ありリストには入れていたけれど、関西弁の言い回しが面白い、とある映画紹介を観るまでやっぱり放置していた。
「少しでも興味があるなら私の与太話など聞いてないですぐ本編を観て」と言う件のYouTuberのネタバレなし解説を一応最後まで聞き、鑑賞した。
前半は落ちぶれたオヤジが音楽で次第に再生していくというキービジュアル通り“王道オブ王道“なヒューマンドラマでほんわか気分になる。
ところが、中盤過ぎのとあるシーンを境に劇的に“味変”する。
「アレ⁈ 確か淡麗な鶏白湯ラーメンを食べていたはずだけど、、、なぜにコテコテ濃厚癖あり油麺に変わっちゃったの!」みたいな驚きを味わう。箸ならぬFireTVのリモコンを落としそうになった。
この展開は初めてで "映画経験値" が一つ上がった気分ーー別に実生活ではなんの役にも立たないものだけどね。
“モヤモヤ“については、さすがにネタバレなしには書きづらい。それでも何とかさらっと触れると、この主人公は問題を先送りしてて、そこに共感できなかった。まあ自分も大概先送り体質で自分を見るような自己嫌悪を覚えた次第なんだけど。他人(や映画)のフリを見て、な教訓に思える。
恐らくこのモヤモヤは欧米人より日本人的だと思う。親子といえど、それぞれ一個人の人間として考える個人主義が欧米はより強いと思う。理性的に考えると程度の差レベルだとも思うのだけど。
バイプレイヤーとして数多の作品で見るウィリアム・H・メイシー、本作が初監督作品だそうでビックリ。顔も体も重鎮なローレンス・フィッシュバーンの振り返り登場がカッコ良かった。