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斬る 4K版のkitoのレビュー・感想・評価

斬る 4K版(1962年製作の映画)
3.7
淡々と語られる時代劇ーーではあるのだけれど、主人公なりに筋の通った生き様が、様式美を背景に71分間という短尺で簡潔に描かれていて素晴らしい。

本作の決闘シーンは知る人ぞ知るユニークな表現になっている。それは時間にすればほんの数秒に過ぎないし、かなり遠景なので直接的な刺激はないのだけれど、なかなかぶっ飛んだ表現。「テリファー」で話題になったアレに近いか、いやむしろウルトラマンが必殺の一撃で怪獣を倒すやり方か。とにかく必見のシーン。

市川雷蔵といえばやはり「眠狂四郎」シリーズ。本作は眠狂四郎第一作の前年のもので、孤高の剣豪役というキャラは後の眠狂四郎に通じるものがある。眠狂四郎の代名詞とも言えるのが必殺技の「円月殺法」だが、本作の主人公も相手のノドを狙う「三絃の構え」という必殺技をあやつり、彼の剣もまさに天下無敵。

本作の三隅研次監督は「眠狂四郎」シリーズも三作品撮っており、映像、音楽、宿命を持つ主人公の生き様など本作でも似たテイストを感じる。登場シーンはさほど長くはないけれど、藤村志保、渚まゆみ、万里昌代の三人の女優が「何れ菖蒲か杜若」という美しさで光り輝いている。
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    from 10.10. 2022

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