ポルりん

裏ホラーのポルりんのレビュー・感想・評価

裏ホラー(2008年製作の映画)
1.9
本作は、霊が映っているのか映っていないか分かりにくいリアル風の心霊ドキュメンタリーとは違い、誰もが直ぐに分かるようなフェイクドキュメンタリーとなっている。
私としては、そちらの方が断然好みであるし、一瀬隆重や白石晃士らが監督という事でかなり期待していた。
全体的に緊張感の生み方や保ち方は素晴らしく、オチに行くまでの流れはかなり引き込まれるものがあった。
しかし残念な事に、肝心のオチが非常に弱く、想像の斜め下な話が多い。

本作では「ストーカー」という、とあるストーカーが女性を盗撮するという話あり、この話のオチ手前までの流れは

始めにストーカーが女性の不在を確認した後、女性の住むアパートにカメラを仕掛け一旦部屋を離れる。

暫くすると女性が帰宅して、着替えを始め、就寝する。

次の日、女性が仕事に出かける為部屋を離れると、ものの10秒位でストーカーが部屋に侵入し、女性のベットでゴロゴロしたり変態行動を取る。

暫くすると女性が帰宅して着替えを始める。

ベットの下にハンディーカメラを持っているストーカーが映る。

ストーカーの持っているカメラに切り替わり、女性の足を触ろうとしたり、女性が入浴している付近に近づいたりと行動がエスカレートしていき、最終的には女性が睡眠している際に、肌が触れる程の距離まで近づき、撫でまわすように撮影する。


というものになっている。
ここまでは演出等も含めかなり良い出来だと思うし、このバレないギリギリの行動が中々の緊張感を生み出している。
これ以降の展開を私は、


突然チャイムが鳴り、ストーカーがベットの下に隠れる。

女性が目を覚まし、玄関に向かい彼氏を部屋に迎い入れる。

彼氏が別れ話をして、女性が逆上し彼氏を殺害。

思わずストーカーが声を出してしまうorカメラを落してしまう。

女性が色々な所を捜索し、最終的にベットの上に座り込む。

安心した所で、突然女性がベットの下を覗きこみ、満面の笑みでストーカーに襲い掛かる。


といったものを予想した。
もしくは、実はその女性は死んでいたという展開もありだし、折角2台のカメラを使っているのだからそれを有効に活用した演出もありだと思うし、材料が非常に良いだけに幾らでも怖い演出をする事は出来たと思う。

しかし、本作の場合は、


女性が目を覚ます。

女性が悲鳴を上げストーカーが殴られる。

警察が来てストーカーが逮捕される。




いや、何だよこれ??
割と普通の反応してるだけじゃねーか(゚Д゚)ゴルァ!!
こんなオチで一体どうやって怖がればいいんだよヽ(`Д´)ノプンプン
フェイクドキュメンタリーでこれはないだろ(#゚Д゚)ドルァ!!

いや、せめて、


ストーカーが体をアップで撮影し、その流れでカメラを顔に映すと既に女性は起きていて無表情でカメラを見つめている。

女性が無表情から満面の笑みに変わり、ストーカーに殴りかかり、カメラを落とす。

カメラがベットの下or影になっている場所を映し、そこには得体の知れないものが・・・。(実はこの女性は他にも何人もの人を殺害していた)


といった流れじゃないのか・・・。

このように本作は、オチに行くまでは素晴らしいのだが、肝心のオチが非常に弱い話がかなり多い。
「飛び降りる女」という話に至っては、飛び降り自殺多発地帯に変な印があるといった伏線を完全に無視して、飛び降りた女性の上からもう一人の人間が飛び降りるというどうしようもないオチだ。

本作で一番出来が良いと思う「幽体離脱」という話は、画面構成、間の取り方が良く、ジャンプスケアの使い方もかなり効果的に使われており、ホラーとしては中々の出来であった。
しかし、オチが顔面爆破というシリアスなギャグを突然ぶち込んでくる。
これには本当に吹き出しそうになってしまった。
この話に至っては途中までホラーとして中々の出来なので、ジャンプスケアシーンで終わりにし、シリアスなギャグを入れるべきではなかったと思う。

かなり良くなる要素が揃っているだけに残念な作品であった。
ポルりん

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