紅孔雀

ナイスガイズ!の紅孔雀のレビュー・感想・評価

ナイスガイズ!(2016年製作の映画)
5.0
超絶大傑作。
アメリカでもまだこんなに洒落た作品を作れるんだ!と嬉しくなりました。待ち望んだスクリューボール風味(1930〜40年代ハリウッドで流行のコメディタッチ。突飛な行動をとる人物が多数登場するのが特長)のユーモア・クライムミステリです。
舞台は1970年代のロスアンゼルス。この時代設定が、本編最大の謎解きに関わってくるあたりは、上質な本格ものとも言えます。
2人のバディもご機嫌。アル中探偵ゴズリングは酩酊状態でも推理力は健在。言い間違いが多く、ヒトラー・ギャグでも笑わせてくれます。相棒の示談屋クロウは、有無を言わさずに暴力を振うマッチョマン。ただゴズリングの娘ライスにはヨワく、その言に素直に従う意外性が魅力です。もちろん、愛らしいライス嬢も大活躍。ポルノ映画も平気で見るし、機転を利かしてダメ親父たちの危機も救います。チョイ役の登場人物達にも目配り充分。例えば娘の友達ジェシカは、気絶したヒロイン・アメリアを前に「ぶん殴れば?」なんて物騒なことを言ったりします。
我が愛する閨秀ミステリ作家にクレイグ・ライス(1940年代に私立探偵マローンものが大人気で「タイム」誌の表紙を初めて飾ったミステリ作家)がいるんですが、まさにそのブラック・ユーモアが映像化された思い。“地獄の業火でタバコの火をつける”と評されたライスの哄笑が画面から聞こえて来るような気がしました。
編集で圧縮(?)したせいか2〜3度見直さないと分からぬところもあるんですが、これだけ頑張ってれば目をつぶってもいいかも。もう満点つけちゃいます‼️
紅孔雀

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