グラッデン

ハイ・ライズのグラッデンのレビュー・感想・評価

ハイ・ライズ(2015年製作の映画)
4.0
1970年代に発表された名作SF小説が原作。医学研究者の主人公が入居したハイ・ライズ(高層マンション群)で発生した混乱を描いております。

医学研究者の主人公は「中の上」位置する25階、ハイ・ライズを設計した老建築家は最上階=40階、子だくさんで肉体労働者の家族は3階。

本作の舞台となる超高層マンションでは、住民が暮らす階層が格差に反映されるとともに、作中でも度々階層による差別が行われていることが漏らされます。その意味では、ハイ・ライズは建物や共同体というより、凝縮された1つの「社会」として考えることができると思います。

高層階の住人の横暴を契機に下層階の住人の不満が爆発、マンション内のモラルは徐々に崩壊していきます。上層階の階級意識は肥大化し、下層階の怒りは混乱と暴動の連鎖を引き起こす。ある種の「革命」を垣間見ているような感覚でした。

そして、本来であれば直視できないような狂乱の風景を、カメラワーク、ストップモーション、鉄板とも言えるカオスな映像とクラシック音楽の配合等の技術を駆使して恐ろしいほどに美しく、鮮やかに描いていたのが印象に残りました。

また、「美しさ」という点ではインテリア等の様々な部分で取り上げることができると思いますが、「英国男子」分として主演のトム・ヒドルストンも良かったです。序盤に全裸日光浴を見せたと思ったら絶対スーツ脱がないマンというギャッブもまた良かったり(汗)

本作の舞台となる超高層マンション群は徐々に見慣れてきたものの、今もなおSF作品の延長線上にある風景ではないかと。ただし、作品を見終えた後、電車から見えたマンション群に恐怖感を覚えてしまいました。。