れーちゃん

セッションのれーちゃんのレビュー・感想・評価

セッション(2014年製作の映画)
4.0
チャゼルが「夢」について描くのは、彼自身の人生を通して得た原体験からの発想なのではないだろうか。
実際に「セッション」が作られたのは、チャゼル自身がプロドラマーを目指していたという背景が大きい。
本作「セッション」は、プロドラマーを目指す音楽院生が主人公の物語。モラハラ指導者に目をかけられ、主人公は血眼になって練習に打ち込んでいく姿を描いている。

チャゼルの作品の特徴は、「夢を追いかける人々が直面する過酷な現実」をテーマにするところ。
でも私は、「夢と恋は両立できない」というサブテーマも存在してるのではないか?と思っている。

練習に打ち込む一方で、恋人を自分の将来を邪魔する存在のように感じて別れを告げてしまう。周りが見えなくなった主人公は、徐々に精神を病んでいくという話でもある。

チャゼルの他の作品を通しても言えることではあるが、力点を置くのは、アメリカンドリームを掴めるかどうかではなく、「夢を本気で叶えたい」人間が苦悩し、もがく姿の描写だ。

中には、夢も恋愛も、全部手に入れ成功している人だっているだろう。
それでもチャゼルは、必ずといってもいいくらいに、夢と恋愛を両立させない。まるで「夢を叶えるためには、恋なんてしている場合じゃないんだ」というかのように。

本当に夢を叶えたい人はここまでの努力と、苦しみを味わって初めて実現するのだと言わんばかりのスパルタな作品でした。

ラストのシーンは鳥肌が止まらなくなります。
れーちゃん

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