拓斗

セッションの拓斗のレビュー・感想・評価

セッション(2014年製作の映画)
5.0
2015.10.19
2016.08.20鑑賞

いや評価云々じゃなく素晴らしい作品だった。
俺自身時系列や複線の多い複雑な映画は好きだけどこの作品はシンプルかつコンパクト。
106分という短い時間のなかでも少ない舞台で淡々と進んでいく物語はなんとなく味気なく思えるがこの作品は全く問題なかったと思う。

ネタバレなしで書くのは無難しいけど主人公アンドリュー演じるマイルズ・テラーこの作品が進むにつれ見えてくる才能と狂気と傲慢さ、鬼教官フレッチャー演じるJ・Kシモンズの狂気、怒り、時に見せる優しさ。
アンドリューの偉大な音楽家になるという野心や傲慢さを見事に表している。

偉大な音楽家になるためにはどうしたらいいか…
家族も彼女も全て捨て寝る間も惜しんでただひたすらに手を血まみれにしながらもドラムを叩き続ける狂気。
その努力をその思いを踏みにじられたとき、報われなかったときアンドリューもそうしたように俺たち観客はその思いをフレッチャーにぶつける。

しかしアンドリューが挫折しすべてを無くした時手を差し伸べてくれたフレッチャーの優しさ
「危険なのは上出来(グッジョブ)という言葉だ」
どんなことでもそうだけれどそこで完璧だと思ったら前に進むことはできない
そこで誰しもが”実はいい人”だと思うはず。

だがしかしそこからがこの作品の本気
最後の怒涛の展開。
まさにこの作品の最高到達点。
二人の絆が構築され正に音を楽しむ音楽。

始まりも終わりもドラムで始まりドラムで終わる余韻に浸ってみることのできる文句なしの楽しい傑作映画だった。
拓斗

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