柏エシディシ

百日紅 Miss HOKUSAIの柏エシディシのレビュー・感想・評価

百日紅 Miss HOKUSAI(2014年製作の映画)
3.0
「時代劇とアニメの相性はいい」という原恵一監督の言葉に納得。
現代には失われた風景を再現するのに持ってこいだし、今よりも深い夜の闇や、雲の隙間や何気の無い情景の中に潜んでいた「何か」が、現出する瞬間の説得力は実写には無い物だと思う。

絵師である北斎やお栄の生き様や創作に対する姿勢が、アニメや映画そのものへのオマージュにもなっており、この作品がアニメである必然性も申し分なし。

個人的には、一部のマニア向けの所謂「萌え」的なシロモノや、漫画をそのままカラーコピーした様な、動きの無い「紙芝居の様な」作品が乱立する「ジャパニメーション」を指して、日本を代表するカルチャーの様に語る風潮に違和感を常日頃感じており、
シルヴァン・ショメの作品やアリ・フォルマンの「戦場でワルツを」の様な、アニメーションである必然性があり、且つひとつの作品として素晴らしい映画が、日本にはまだまだ少ないと思います。

亡くなられた今敏さんと、原恵一監督は、そんな日本アニメ界の「良心」ではないかと。
次作も期待してます。
柏エシディシ

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