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ブラックハットのlaBamba01のレビュー・感想・評価

ブラックハット(2015年製作の映画)
5.0
マイケル・マン5年振りの新作...
でもマン節健在、そしてマンの映像的刻印がそこここに見つけられ、観ながらニヤリとしてしまう。
しかし、本作ではこれまでのマン調に新鮮な変節も。今回はヒロインが...いや、まだ初日なのでこれ以上はやめておきますw
いずれまた、ゆっくり書きたいと思います。

と言いつつ、マイケル・マン作品の中で描かれる銃撃戦について書いておきたい...
彼の描き出す銃撃戦は、アクション映画として演出された作劇的なものというより、実在するプロフェッショナルの戦闘の再現的なシミュレーションに近い。
だから時として物凄く素っ気なくて地味にも視えるが、その動作や構え、展開に一切の無駄がなく、観ていて震える程に乾いた怖さを醸し出している。一時、アクション映画の世界で「◯ランティーノ撃ち」と言って自動拳銃やライフルを横に倒して水平撃ちするのが流行ったが、マンの銃撃戦にはそういったファンシーなサービス要素は皆無だ。
実戦で使われている構えやフォーメーション等を、実在の従事者にアドバイザーになってもらい、振付けをしている為、その画面からは、いつ・誰に訪れるかわからない死の匂いが立ち昇ってくる。さらに実銃(勿論撮影時は空砲を使用しているが、撮影前には実弾による射撃訓練が必須らしい)を持たせることで、演者の体感しているであろう「身近な死の空気」をも表出させる。

今回も、50m以上離れた敵集団との銃撃戦で コンテナにめり込む銃弾や跳弾の音が物凄く怖かった。銃声は全て、使用した銃による本物の音を当てているらしいので、そのリアリズム描写が奏功しているのだろう。
と同時に、水溜りに鏡面のように映り込んだ遮蔽物に身を潜める敵集団を捉えた引き画の構図は、絵画的な美しさも感じさせるのだ。

このある種機械的・即物的とも言えるプロフェッショナルのリアリティ描写へのこだわりと 情緒を匂わせるカメラアングルの共存こそ、マン調と呼んでいい作家性である。

しかしホント素晴らしい映画作家だと改めて。
興収絡みの批評とか、正直 俺にはどーでもいいや。取り敢えず大満足でした☆
でもまだサントラ盤も売り出してないし、都内での上映館が池袋と日比谷の2館だけとは、、ちょっとさびしい勿体無い。。
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