ニューヨークの路上で暮らす少女〝ハーリー〟の実話を基にしたダーク・ロマンス。
現実逃避か快楽か…ヘロインにハマり、ヘロインの為に物乞いする少女。
針に糸を通す手が震えるのはヘロインのせいだけでなく、彼女自身の不安や動揺か…。
やはり注目は主演で〝ハーリー〟を演じたアリエル・ホームズ。
監督であるサフディ兄弟がマンハッタンで別の撮影をしていた時に、偶然通りかかった美しい少女を見かけ出演交渉したのが路上生活者のアリエル・ホームズ。
アリエルの路上生活の体験を自身が本人役として演じる事は、虚構と現実が入り混じる事を意味し随所でリアルな描写にある意味衝撃を受ける。
だからと言ってそのリアルさはドキュメンタリーとは違い、映画という枠の中で収まり物語として成立している。
一見、ホームレスの日常生活を淡々と描いているようにも見えるが、観る側の目線を何処に置くかによっては胸が締め付けられる思いすら感じる。
愛するが為に全てを捧げる思いは純愛すぎるほどシンプルで、全てを捨てた状況が故に愛する恋人への気持ちは痛々しい。
それでも一般人から見たらとんでもない生活を送っているのだが、たぶん〝生きる〟実感を彼女は力強く感じられているのではないか。
大人になり何の為に働くのか、何の為に生きるのか…それが分からず悩み模索するならば、全てを捨てた状態になれば答えは見つかるかもしれない。
ハイになったアリエルの虚ろな瞳が印象的でした..★,