エアール

LOW DOWN ロウダウンのエアールのレビュー・感想・評価

LOW DOWN ロウダウン(2014年製作の映画)
3.4
ビ・バップで将来を渇望された、天才的なジャズピアニスト ジョー・オバーニー。
本作は彼の愛娘 エイミーの視点から
彼の半生を描いたものとなっており、
1974〜1976年の回顧録を映画化したもの。

才能豊か、他を圧倒する技巧、
奏でられる繊細なメロディー、
でも私生活では問題を抱え
あまり家族のそばにいなかった。
重度の麻薬依存、アルコール、
刑務所や精神病院を入ったり出たりの繰り返し。

正しい行いをしたいのに
どうしても薬物と縁が切れない、
結局は周囲の人を裏切る結果となってしまう
”迷”演奏者 オバーニーを演じたジョン・ホークスの怪演ぶりが輝る作品です。
彼が愛情を注ぐ娘 エイミーにはエル・ファニングが扮します。

警察を避けながら仕事を探す一方で
ハリウッド郊外にある1室で生活をする父娘、
問題が絶えない父に複雑な思いを抱くエイミーが頼りにできるのは
老いた祖母と落ちぶれたはみ出しものの友人たちだけ。
歌手の母 シェイラの存在もあるが
彼女は彼女でアルコール依存症を患っていて
まともな生活とは縁遠い。

度重なる裏切り、
本来なら見放されても文句言えない父親ですが
そんな父のこと、そして彼のもう1つの顔ー音楽家としての姿は
エイミーの目にどう写っているのか…


母 シェイラにはレナ・へディ、
ほんで祖母にはグレン・クローズと
ベテランを揃えてきましたね。
美形で知られるレナが
アル中の母親を演じたことには
新たな一面といいますか、ちょっと意外でした。

決して明るくはありませんが
だからといって悲劇一色というわけではなく
エイミーに影響を及ぼしたジャズの美しさや素晴らしさだったり
父娘の一風変わった愛の絆だったり、
終盤でエイミーに迫られる選択と決断からは
今後の希望もかすかに感じられる。
エイミーの強さは感服もんですよ。
エアール

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