芸能人である母親が、整形を終えて双子の子供が待つ家へ帰ってくる。でも子供たちにとって、帰ってきた母親にはなんか違和感がある。前と違う。
子供たちは言う「コイツは本当の母さんじゃない...」
「親子のわかりあえなさ」ひいては「他者のわかりあえなさ」が、巧みな脚本によってヒリヒリと炙り出される。
そして、その「わかりあえなさ」は話をドンドンヤバイ方向へと導いていく。
この映画は「親子ドラマ」でもあり、「子供ホラー」でもあり、『反撥』のような「心理スリラー」でもあり、さらに「監禁スリラー」でもある、というように、ジャンルミックスが見事になされていて、ストーリーもどっちに転んでいくか予想するのが難しく、観ているものを飽きさせない。
映画のテイスト的には、オーストリア映画ってこともあり、低空飛行でジワ〜ッと観ている者をイヤな気持ちにする、ハネケ、ザイドルのあの感じをイメージしてもらうと良い。(この映画はザイドルがプロデューサー)
最終的な話の落とし方には「そう来たか!」と思わず唸らされると同時に「いや〜それはやめて...」と、心底震えさせられるという。
セリフでのミスリードも仕組んであり、ラストへの持っていき方にしても、とにかく脚本が巧みである、という印象。
正直、「未体験ゾーン」でやってる映画だし、ポスターもあんまりイケてないし、いつものありがちな、設定だけ凝った感じのその辺のB級ホラーでしょ?と、観る前はナメてたわけだが、全然違った。「その辺のやつ」とは一線を画してた。
とりあえずみなさん、一回観てみて。