冒頭のカーオーディオにカセットテープを入れる手元のカットからしてすでに嫌な予感がして、主人公の一人の下宿部屋の中をなぞっていくカメラの動きを眺めながら、もう観たくないという気持ちがムクムクと込み上げるものの、あっちゃんファンとしてはなんとか最後まで見通した。
騙し絵風のプロットが一番の売りなんだろうけど、そういうの映画にはいらないんですよ。ナラティブを追いかけるために映画なんか見ないんですよ。
20代の大半を80年代東京で過ごした、しかも当時のガールフレンドが静岡出身だった人間からすると、当時の風俗やムードもまったく描けていないし、それを敢えて再定義しようとしたという工夫もない。
演出は語るに足りず、脚本も下らない、美術も手抜き。前田敦子と松田翔太の無駄遣い。観終わった後に残るのは虚脱感のみ。