佐藤克巳

おゆきさんの佐藤克巳のレビュー・感想・評価

おゆきさん(1966年製作の映画)
4.5
鍛治昇監督の映画デヴュー作らしく瑞々しく新鮮な青春映画の秀作。和泉雅子の明るく健康的で屈託のない個性が最大限活かされた映画通お手伝いさんと、笠智衆の柔和で紳士的で実直な大学教授のご主人、賢妻小夜福子、その子女松尾嘉代の一家で巻き起こる日常風景の和やかな事といったらない。四季折々の行事や郊外の清潔な環境、とりわけ雨の和泉と笠の語らいの場となった多摩川の河原の美しさは格別だった。また幼友達の松山省二の失恋はもの悲しく切ないが彼自身「年ごろ」と並ぶ好演を見せたし、テレビ映画の縁なのか、松原智恵子の友情出演は嬉しい驚きだった。見せ場も映画をクイズにした番組だった様に、テレビとのタイアップが上手く作用した先駆けだったかも知れない。
佐藤克巳

佐藤克巳