風来坊

アップルシード アルファの風来坊のレビュー・感想・評価

アップルシード アルファ(2014年製作の映画)
3.5
劇場版第1作の「APPLESEED」を初めて観た時は「これが次世代のアニメーション」かと興奮した思い出があります。アニメチックさを残しながらCGと融合させたハイブリッドアニメーションとBOOM BOOM SATELLITESのイカした音楽、デュナンの弾けるような可愛さと躍動感に胸を熱くさせた映画でした。

劇場版前2作から作画面が大幅に変わり、セルルック調からリアルなフォトリアル調のフルCGアニメーションとなっています。これによりデュナン達の髪の毛の流れや、細かな顔の表情を非常にリアルに表現出来ています。デュナンのおどけた表情は魅力を感じます。しかし…リアルになったぶんデュナンの美少女っぽい可愛さや弾けるような元気さは失われていて…デュナンが可愛くないという声もあるようで…。私もちょっと残念さはあります…デュナンがどうしても肝っ玉母ちゃんに見えてしまう(´・ω・`)

ストーリーは前2作の続編という位置付けではなく、原作第一巻をベースとしたリブート作なので劇場版しか知らない人には時系列とかが違うので戸惑うかも知れません。ストーリー展開は戦争がもたらした現実など悲壮感満載で暗い、それぞれのキャラクターの心模様を丁寧に描いているがその分テンポが悪く…疾走感に溢れる前2作に比べるとテンポは悪いです。

誉めてる人もいますが私は中田ヤスタカ氏の音楽は映画と合ってないなと感じました…。シリーズの雰囲気は踏襲しようと頑張ってはいますが…。悲劇的なシーンでポップな音楽流されても…。BOOM BOOM SATELLITESの躍動感あるテクノロックに比べると軽くなった印象があります。あくまでも映画に合ってないなというだけで起用した方の責任で中田氏に罪は無いと思います。

方向性は間違っていないと思いますが、前2作に歓喜し興奮した私にとっては進化した部分と後退した部分が相まってプラマイゼロという感じでしたが、メカやオブジェクトの質感が良く出来ていてビジュアル面では申し分無く、これはこれで十分に楽しめました。
風来坊

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