軽薄なバブルを過ぎて、空気が錆び付いて空虚になっていく21世紀手前の時代の空気を画面に刻み付けたサトウトシキ監督&小林政広脚本の独特な手腕に感嘆。でもこのコンビが数年後には解散して別々に仕事をしていくことを考えるとちょっと切なくなる。
何か起こる度に走ってどこかへ流れていく主人公の抵抗するとか逃避するとか別にそういうことではなくただ流れていくだけの生き方は批判するのは簡単だけど、でも何となくそんな彼の軽い生きざまを何となく理解できるのはその時代を体験しているからなのか。そんなただただ漂流するだけの彼にもたらされるラストの出来事に戦慄。そんな彼がさまよう東京の場末感も最高。
新人の主役二人をサポートするベテランの伊藤清美と下元史朗の仕事振りが見事。