リリー

東海道四谷怪談のリリーのレビュー・感想・評価

東海道四谷怪談(1959年製作の映画)
4.0
素晴らしい、日本が世界に誇れる怪談映画です。歌舞伎が元だそうなので、舞台を観ているようで様々な仕掛けが面白いです。CGがない時代にもかかわらず、お岩さんの怨念の映像化が不自然ではなく、唐突に驚かせる切り替えが絶妙です。

時代の違いによる発見を楽しんだのですが、まず、当時は事実婚だったとわかることです。伊右衛門はお岩さんと婚姻関係にあったようですが、裕福な家の娘と祝言をあげるの時に重婚の意識がないようです。
また、不倫をした男女は始末して良くて、同じ板の表裏にくくりつけて見せしめにするしきたりがあったとは驚きです。
そして何よりも日本は無法地帯だったのですね。伊右衛門は呆れ返るほどに腹黒く、浅はかで、感情にまかせて何人も斬っているにも関わらずお咎めもない、となれば町奉行をあてにせず、お岩さんの怨念や敵討などで復讐をするしかないのです。
日本の怪談の基本の基本を復習しなければ、と思いました。
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