すん

モアナと伝説の海のすんのレビュー・感想・評価

モアナと伝説の海(2016年製作の映画)
4.3
日本を出られないディズニーオタたちはこの作品を3ヶ月半待った。

結果、作品は最高に良かったけど、僕の頭の中はまだラ・ラ・ランドの余韻から抜け出せていない。
観た順番が逆だったなら…。

アカデミー賞有力と言われながら、同年公開の同スタジオ制作のズートピアにアニメーション賞を奪われ、楽曲賞はララランドに…。
敵が強すぎて無冠という。


Twitterでもずっと語られてるけど、ウォルトディズニージャパンのプロモーション、タイトル改変、公開時期には本当にうんざりさせられてる。

「モアナと伝説の海」というタイトルも気になった。
劇中何度も「私はモトゥヌイのモアナ!」と主張し、クライマックスのシーンでも「私はモアナ!!」と高らかと歌う。
モアナはポリネシアの言葉で「海」を意味するらしい。
劇中でも「海が島を隔てるもの」から「島と島をつなぐもの」として意識がかわってゆく。
モアナこそが海なら、モアナが島と島をつなぎ、テ・フィティとマウイをつないでいくのも納得できる。
だから、オリジナルタイトルに「伝説の海」がついていたならまだしも、わざわざ付け足す必要性があったのか疑問に感じた。
「モアナ」ですべてが伝わる。


でも吹替は良かったよ。
モアナはもちろん、マウイもタマトアも。
ディズニーアニメは劇場ではなるべく吹替で観るようにしてるけど、屋比久知奈の力強いHow Far I'll Goで3回泣いた。
歌の力は偉大である。


ストーリーとしては、さすがジョン・マスカー、ロン・クレメンツのコンビ。
近年のディズニーで続いていた裏をかくようなストーリーを一旦やめて、90年代ディズニーを思わせるストレートな物語でしっかり楽しませてくれた。

モアナはプリンセスが主人公の物語だけど、いわゆるプリンセスストーリーではなくて、アドベンチャー物。
ドクターストレンジ公開時にあったWDJのスタッフへのインタビューでの「女性にはラブ要素が欠かせない」発言を真っ向から覆す、恋愛要素ナシのストーリー。
(ここで日本版のポスターがひどい事も触れたいけどいいや)

リトルマーメイド以降の王子を待たないプリンセスが、ラプンツェルやアナの登場で王子を自ら冒険に巻き込んでいくプリンセスに発展し、到達点としてのモアナは、仲間の助けを借りながらも、自分の意志と自分の力で物事を解決していく。

行きて帰りし物語というジャンルがあるのを初めて知った。
次々と現れる(ゼルダの伝説に出てきそうな)怪物たち、ロードオブザリングを思わせる大冒険。


作品はめちゃくちゃ良かった。
悪いのはすべてウォルトディズニージャパン。
すん

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