くりふ

クリッシュのくりふのレビュー・感想・評価

クリッシュ(2013年製作の映画)
3.5
【アメコミヒーローマサラ】

DVDレンタルにて。どこか苦笑しつつも、結局はボリウッド熱にほだされ楽しんじゃった。でも劇場効果でハイになってみるべき映画だとは思います。

数々のアメコミヒーロー映画からいいところ取り。概ねはスーパーマン×X-MEN、でしょうか。でも何だか憎めないパクリ感です。この胡散臭い明るさがボリウッドですねえ(笑)。

シリーズ3作目だそうで、一応過去の展開が冒頭、ダッシュで紹介されますが…主人公父子が、宇宙人にスーパーパワーを授かったらしい…ということ以外サッパリわかりません。

しかしこの冒頭ナレーションから物凄く説得力ある低音が響き、誰かと思ったらアミターブ・バッチャン。いや、お見事ですね。プロの声優でもないのに、声だけでここまで轟かせるとは。

父ローヒトと子クリシュナ(クリッシュ)をリティク・ローシャンが兼ねていますが、自然に演じ分けて巧いです。画面合成も適切で違和感ありません。彼はマスクしている方がイケメンですね。

クリシュナの妻、プリヤンカー・チョープラーさんがお目当てでしたが、ちょっと受け身っぽくて残念。彼女は助けを待つ女、あまり似合わないと思う。出てくるたび、あの唇には相変わらず見とれましたが。

しかしヒーロー、クリッシュとこの一家の関係がわからないので、前半、置いてけぼり感がずっと続きました。

敵のカメレオン女を演じるカンガナー・ラーナーウトさんはおっぱい…だけじゃなく全身セクスィで素敵。悪女からオトメ化への急降下が物凄くて笑っちゃいましたが、可愛らしさもあるし、他の作品もみたくなりました。

敵は、ある今風鬼畜手段でインド人皆殺しを狙い、一瞬地獄絵図が始まるのですが、物凄くざっくりな解決法で、ヒーローが一瞬で対抗してしまう。この辺がホント、ボリウッドらしい微笑ましき能天気。映画のトーンをひたすら陽性に保っていますね。

敵のボスは本作で初登場のようですが、主人公一家との因縁があって、過去作で描かれたかが気になり集中できない。これ、一見さん向けには損していると思う。

あとラスボスのコスがビンボくさい(笑)。アレができるのは凄いパワーとはわかるけどさ、そこまでやるならキレイにトランスフォームしてほしいよ。寄せ集めの布で服をでっちあげたホームレスのようでした。

超絶バトルシーンのCG含め、映像はホントしっかりしているから、脚本のユルさを補って、飽きません。色彩の鮮やかさは見ているだけでずっと楽しいです。

愚直なほど家族の絆、血のつながりを訴え続けるのもボリウッドらしいですが、複合家族が当たり前のハリウッドではできなくなっていることだし、これからは貴重になっていく気がします。

本作とはこれなり!というような強烈なオリジナリティは感じなかったので、感想もこんなですが、おおむね面白かったです。4が来たらみたいとも思いましたし。

<2014.12.21記>
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