心にしみわたる良い映画だ。
「結婚は契約を伴うが、友情には契約はない」という言葉が、正にこの作品に一貫して流れるモチーフだね。
ドパルデューがボクシングをやめると言い出した時のモンタンの態度はとりわけ泣けた。
といっても日常を理想的にきりとっているわけでなく、たとえば八方塞がりになったモンタンがそこにきてやっと心的に妻を頼るくだりや、周りを見下しているピコリが周りを必要としたりとか、人間が抱える弱さや胡散臭さや矛盾と延いては素晴らしさを描ききっているところ、そしてまたそれをドラスティックでなくさりげなく語っているところに感激を覚える。
『夕なぎ』も凄く良かったけど『友情』はより素晴らしい傑作だ。