手持ちで人を追う撮り方ってダルデンヌのいつものやつだけど、アメド少年を少し長めに追うだけで、剣呑な展開が待ち受けているのではないかとハラハラさせられる。
ただそれだけでサスペンスとしてゴリゴリに機能しているあたりは流石と言わざるを得ない。
アメド少年が反省した風に先生と面会したいって言った後で部屋で歯ブラシを研ぎだすショットは肝を冷やした。めちゃくちゃブルッたもんこの場面。
ダルデンヌ節はハッピーエンドには程遠くもそこにはいつも希望が残されていて、その洞察力と視座の暖かさに敬服するばかりなのだが、そういったこれまでの例に倣えば本作品のラストもそっち側だと思うんだけど(思いたいんだけど)正直ちょっとわからない。
欧州でISのテロが頻発していた時期に撮られたものだし敢えて結ぶ事をしなかったのかもしれない。
もし希望といえるものを探すならば、キスしたい?のシークエンスのハニカミだろうか。
きっとまだ間に合う。