Aix

慶州(キョンジュ) ヒョンとユニのAixのレビュー・感想・評価

3.9
キムチを売る女や柳川などで知られるチャンリュルの代表作。亡くなった先輩との思い出の地でもある“慶州”に旅をする話。

今までたくさんの韓国映画を見て来たけど、その中でも今作は最も素晴らしくて最も好きな韓国映画の一つかもしれません。全体的にスローですが、美しく、ユーモアが効いているし、幻想的で不思議なサプライズに溢れていて、とても見心地が良かったです。とにかく今作の独特な浮遊感と、慶州のロケーションの組み合わせが完璧でした。韓国を筆頭とする北東アジアの関係性や、見て見ぬふり的なテーマが興味深いし、フィックスでの撮影もこの映画の雰囲気とハマってたと思います。主演のパクヘイルが別れる決心同様に中国人と関係しているキャラクターを演じていたのも面白かったです。

ビーガン、アピチャッポンウィーラセタクン、濱口竜介、ホンサンス辺りにもちょっと似たロードムービーで、鑑賞中はどこか村上春樹の短編小説を読んでいるような感覚になりました。おそらく今作は見返せば見返すほど良くなるスルメ映画だし、毎回新しい発見が出来る気がします。日本ではあまり有名ではないチャンリュル監督だけど、強く人にオススメしたくなるような作品です。
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