Zuma

トイ・ストーリー4のZumaのレビュー・感想・評価

トイ・ストーリー4(2019年製作の映画)
4.2
変遷

この物語の主題であると考える。

前作(トイストーリー3)のこれまでにないラストと、それに伴う続編発表後の期待。

Pixarにはいつも新感覚を、与えられている故にその安心感に伴うトイ・ストーリー4と言う作品が果たして我々にどのような新感覚または感動与えてくれる作品なのかと、鑑賞前から気持ちが昂っていた。


変遷、変化、変わり目といったようなこれらの言葉は時に挑戦的なものであり争いが起きるものである。
まさに、今の日本国内のトイストーリー4鑑賞者の賛否分かれる評価がそうである。


「おもちゃ」と言う誰もが1度は関わりのあるこのかけがえのない存在に関して、Pixarは設立当初から携わってきて、そして今回の作品で1つの答えが与えられた。
それが、あの衝撃的なラストである。それは、Pixarというこの会社自体がこれからの進路を再検討し変えていくと言う決断をしたその結果が現れているのかもしれない。

おもちゃはいつか捨てられるものであるということを、理解しているおもちゃ自身がいる。さらに迷子おもちゃというものも持ち主の有無でそうなるのではなく、おもちゃたち自信が幸せでない状態のことが、迷子おもちゃなのである。という事だ。その考えの下に生まれたあのラスト。非常に感慨深いものである。



ここで、予告編が始まった時から気になっていたフォーキーについて少し。


彼は今作からの新キャラクターで本当に愛くるしいキャラクターで、新しくウッディたちの仲間入りを果たし、準主役的存在を務めていた彼。
そんな彼は終始取り巻く愛くるしさは観客の心を鷲掴みにしていた。

愛くるしいキャラクターとは、どこか欠点のあるキャラクターであると思う。
それはどういうことかと言うと彼自身ウッディからの教えすら、きちんと理解していなかったり、チームでの行動ができず何度もゴミ箱へダイブしてしまう始末。
一見すると良い印象ではなく、苛立ちをも感じさせるような設定。

しかし、彼が生まれたのが2日前であり赤ちゃんのような存在であった彼は、皆の母性反応を引き出し結果的に周りをうまく使っていた。
そんなこんなで仕上がったキャラクターこそが愛くるしいみんなのアイドル的存在のフォーキーであろうと思う。

何はともあれ、最も感動したと言っても過言ではない部分それが映像美である。
アンティークショップの夕日に照らされた天井からぶら下がる電飾のシーンはもちろん、何気ない風景や、舞台になった移動サーカスの観覧車やメリーゴーランドのカラフルさ華やかさを現すPixar制作陣の表現力の高さにはやはり度肝を抜かれた。

一度観ただけは到底わかる事はなく、何度も観ることによってさらなる発見があるということも、Pixar作品の醍醐味の1つであると私は考えているが、今作もやはりその点においては期待を裏切らなかった。

小さな動作やしぐさ、細やかな動きでさえも緻密に精密に表現された映像は、本当に素晴らしいものであった。一度目を観て、特に気に入ったのはフォーキーの目である。

作中何度か、出てきたモーションのひとつで実際自分が幼い頃、工作をする際に何度か使ったことのあるあの目のパーツは、何の変哲もない箱や紙にくっつけるだけで命が吹き込まれる。しかしながら、その目は多くの場合人間やほかの動物と違って黒目の方向が一点に合うことはないのだ。すなわちどこを向いているかわからない少し馬鹿げた顔に捉えることが出来る。
Pixarは、その動きに魔法をかけたのだ。それはフォーキー自身が、何かを見つめたり何か発言したあと少し間を開けて目がコロンっと重力にそって転がるのである。

あの小さな動作が、心をくすぶった。ほんの小さなことであるがそのモーションがフォーキーをとても可愛らしく愛くるしく仕立て上げ素晴らしいな、と感じさせてくれた。


改めて、トイ・ストーリーというこのシリーズ作品は24年ファンたちに愛され『トイ・ストーリー』は、1995年に世界を震撼させるような作品であったことは間違いは無い。

その主役こそがカウボーイ人形のウッディである。

常に掲げていたウッディの仲間を見捨てないという堅実で誠実な彼の性格、そしてバズという唯一無二の相棒。しかしながら今作では、その相棒との接点を極力離し、ボー・ピープとのロマンスを秘めたストーリーに仕立てあげられた。
映画終盤ウッディは、幸せを手にしたかのように思えたことは1つの見方によっては合致している。しかし、ウッディの昔からの家族たちを、あれほどにも雑に扱ってしまうのはとても残念だった。
過去作の1から3は多くの協力とウッディたちのチームワークその面において感動させるものが多々あった。今作は大きくそこも変わってしまったという面において、日本人ファンの批判も集まっていることに同意し、私もあまり良い印象ではないと感じた。

だが、なんと言ってもさすがピクサーと言わんばかりの演出やさらにはユーモアあふれる彼らの表現には感心させられるほか、ほとんどPixar信者のようになってしまった私からすれば、もはや神格化されておりPixarの作品というだけでフィルターがかかっているので少し脳が麻痺しているような感覚でこの鑑賞に至っている。つまりは、公平な感想ではないかもしれない。しかしながら、これだけ定評のあるPixarには、ただならぬ期待も募っているのでやはり、ある意味ではより厳しい評論になっているかもしれない。それがあっても尚、感動させられるのは....




さすがはPixar。ということである。
Zuma

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