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トイ・ストーリー4のhikarouchのレビュー・感想・評価

トイ・ストーリー4(2019年製作の映画)
4.7
シリーズ一貫して、本当に”おもちゃの物語”(Toy Stories)をやり続けている凄み。
おもちゃをギミックとして使った”人間の話”に逃げない覚悟。

おもちゃにとっての幸せとは、という前作のテーマを引き継ぎつつも、ではそのために必要なこととは何か、というところまで踏み込んだ今作。
それは、見た目や機能なんかではない。共に過ごした時間、とくに辛い時にそばにいてくれたことこそが、より強い絆となる。その象徴としてのフォーキー。
言わずもがな、これは人間の友情や愛情にも通じる普遍的なこと。それを、今回も、”トイ・ストーリー”で描いてしまっているなんて、あのキャラクターで伝えてしまっているなんて、凄すぎる。

そして最後、ウッディの下すあの決断。自らとボニーとの関係性に向き合い、内なる声に耳を傾けた、あの決断。なんと大人な。
「内なる声」という伏線を重ねに重ねてのあのラストに、やはり4回連続で泣かされてしまった。

それでいて、これまで以上に今回は笑える。数々の新キャラも、オリジナルキャラたちも、ほんとうに輝いていた。
ラストにしても、湿っぽくなりそうなところでさっと引くあのバランス感覚は見事。

最後に書くが、でも最初に心を掴まれたのは、今作でも映像表現だった。さらにBeyondに進化した質感表現のオープニングでもう鷲掴み。キャラクターたちの表情や所作、会話の間(ま)にいたるまで、ほんとうに作り手のこだわり、魂を感じて、それだけでも涙がでるほどに胸を打たれる。
移動遊園地やアンティークショップというノスタルジーあふれる舞台設定も完璧。

これで本当に終わりなんだろうか。まさに大切にしていたおもちゃを手放すような、切なさを感じる。
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