回想シーンでご飯3杯いける

トイ・ストーリー4の回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

トイ・ストーリー4(2019年製作の映画)
4.0
大団円を迎えた「3」から10年の時を挟んでの続編という事で、公開時は賛否両論になっていたらしい。アンディからボニーに受け継がれたおもちゃ達のその後を描いた作品であるが、旧キャラクターの出番は少なめで、更にウッディが下す最後の決断が、旧来のファンにとっては受け入れ難かったようだ。

「トイ・ストーリー」を「おもちゃと子供の絆」をテーマにした作品だと捉えていた人達からすると、確かに今作はそこを逸脱してしまったように見えるだろう。ただ、僕は元々このシリーズが「絆」や「友情」だけでなく「成長」や「別れ」について描いていた点にも好感を持っていたので(特に2はジェシーと少女の別れのシーンが秀逸だった)、この「4」もその流れにある良作だと思えるのだ。

今作が不評を買っているのは主に日本だけで、本国アメリカでは高評価を得ているのも良く分かる話。仕事は終身雇用で、離婚を「バツ」と表現。変わりない人のつながりを重視する日本と、転職や離婚を可能性として捉える個人主義的なアメリカの、風土の違いもあるのだろう。

今作から若い監督に交代し、製作チームに於ける女性比率が高くなった事もポイントかもしれない。これまで目立つ存在ではなかった女性キャラ、ボー・ピープが主役級として大抜擢。強い女性として大活躍する。プラスチック製のおもちゃが多い「トイ・ストーリー」の中で、唯一の陶器製のキャラクター。途中で腕がもげるも、ひるまずに「良くある事よ」と自ら絆創膏をぐるぐる巻きにして仲間の救出に向かうシーンは、新体制での「トイ・ストーリー」を象徴する名シーンだと思う。