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影の車のFrengersのネタバレレビュー・内容・結末

影の車(1970年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

 劇場にて

 妻から逃れるように別の家に通う夫によって居場所を無くした子供こそもっとも夫婦が求めていた存在という皮肉。その子供によって今度は妻が追い出されるというシンプルなプロットが極上。さらに前半ピントがぼかされていた子供が夫からのピン送りで画面の真ん中にくっきり浮かび上がるとき、憎悪と破綻の後半へ進んでいく様はかなり痺れる。欲望を換気する存在としての鏡、ガラスや鍵の配置や斧・手の反復も素晴らしい。そして所々に小津安二郎を見た(特に女性を押し倒す場面でのオズショット)。1970年前後の新宿や池袋をはじめとする東京を捉えたロングショットや夕方の逆光のバス停や三菱バックの徒歩シーンの反復、狭いバス中のカメラワークなど飽きなかった。
 音楽の使い方は流石に時代を感じたし、回想場面の映像は良くも悪くも突飛。そしてシャロン・テート事件への言及にはビビった。橋本忍スゴい。岩下志麻の家事の所作や加藤剛のたばこの吸い方もカッコよかった。
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