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ナイトクローラーのヒデオのレビュー・感想・評価

ナイトクローラー(2014年製作の映画)
4.0
自己承認欲求の高すぎる孤独なやつに期待をかけちゃうとこうなるよ!気をつけろ!!っていう映画。
社会生についての映画でもあり、サイコな上司を描いたお仕事映画でもある。以下もろもろの点でエンタメとして非常に引き込まれますのでおすすめ。

まず物語の中で起きていく事象はマジで胸糞悪いんです。しかし、その直接/間接の当時者である主人公の行動原理が一貫していてキャラクターとして統合されていて、大変気持ちが良い。
別に何か大それた行動に出るわけではなく(厳密には直接的な犯罪行為もするけど)ただただモラルがないだけなんですが、そのエグい行為の理由も画の中で示されるので無理がなくスッと入ってきます。

また主人公が一つ一つの仕事で気づきを得る瞬間に、音楽やライティングで「成長」をハイライトする演出。再びですが、起きていることはマジでひどい。それを見せるはずの凄惨なシーンでも、音楽はキラキラしたシューゲイザーサウンドだったり、悍ましい事故現場に残された車の光も、さもスポットライトかのように明るく美しく照らし出したり。
全ての事象が、悲惨さよりも彼が自らの欲求に沿ってあくまでも仕事の成果を高めていく様子だと見せてくる、「純粋に仕事の結果を追い求めた成果だ」と言わんばかりの見せ方。
そして夜を疾走する車に重ねられるクールな音楽と光の使い方。この辺りも最高でした。

あと、監督がそもそも脚本やってただけあり、映画史上に残る「マジで何言ってんのか分からない」レストランの会話シーンも見事だった。
現実では今が全く意味わからん主張って会話内ででてきたりすると思うんですが、それを映画で本当に主人公に喋らせたのってこの映画以外あんまりないんじゃないか?(主張の妥当性が全く皆無という点で)

そう言ったもろもろが映画として凝縮されており大変楽しみました。人間性とは一切関係がない合理性のえぐみや、メディアの残虐さみたいなものが主人公の行動もさることながら、水やりのシーンにも現れてくるあたり非常に良かったです。
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