SachikoInoue

エクス・マキナのSachikoInoueのネタバレレビュー・内容・結末

エクス・マキナ(2015年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

鑑賞後、思わず、うぅんと唸る一本。

結末の感想から。
ケレイブを置いて、ネイサンの部屋で、自分の壊れてしまった腕を別のアンドロイドから取り替えるところで、「命って分かってるのか?」という疑問というか、軽い怒り見たいな気持ちがわいた。そして、そのまま、まるで人間が服を着るのと同じように、8割機械で剥き出しになってる自分の体に人工皮膚を貼り付けていく。
そこに少し、吐き気を感じた気がした。
そして、まんまとケレイブを出し抜いて、外の世界へと脱出する。
この「裏切り」はまるで、人間ではないか。
完璧とは言わないが、彼女は人間と言っていい程の行動を起こした。この「裏切る」という行為が私が感じたエヴァの唯一の人間らしさだ。

交差点の撮り方が、なんとなく暗示めいていていい撮り方だと思った。
それは、今まで自分の影だと思っていたと思ったら、いつの間にかその影に乗っ取られてしまったかのような。影なのか、本体なのか…。そんなメッセージを見た気がした。

だんだんと、エヴァに惹かれていくケレイブ。やがて、ネイサンの身の回りの世話をする、キョウコがアンドロイドと知る。
そのことで、自分は本当に人間なのかという疑いとか、確信が持てなくなったのか、自分の体を鏡の前で調べ、ついには自分の腕を切り、鏡を殴る。
静かな混乱を描いている。こういう演出好きです。

終始、不穏な音響があり、これから何が起こるのだろうという不安と期待で、目が離せない。
舞台は、ネイサンの別荘という閉じられた空間で、メインの登場人物は数人という少なさ。だからか、余計息詰まる作品となっている。

AI 、アンドロイド…。だんだんと遠い世界ではなくなってきましたね。
今後のこの世界にエヴァができるのは遠い未来ではないかもしれませんね。
SachikoInoue

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