シネオ

劇場版 MOZUのシネオのレビュー・感想・評価

劇場版 MOZU(2015年製作の映画)
3.0
普段からTVドラマは観ないので、今回も懲りずに情報なしです。けど観てなくても楽しめるという宣伝を信じて劇場へ。

妻子の死の謎を追う、公安警察官な主人公のお話。爆破に銃撃にカーアクションと、派手なシーンが多くて飽きませんが、ストーリーはぶっ壊れています(笑)

多すぎる登場人物で、ただパーツ的な場面の積み上げ。主人公以外はどんな思惑で動いているのかも、さっぱり分かりません。悪者たちも2人殺すだけのスゴキャラなオカマや、突然親子を救うライバルらしき男...その関係性が描かれないまま、やることは全部ボスのためじゃ、もう何でもありですね。

唐突なアジア遠征に、敵アジトの爆破に、主人公が火をつけるヘリポート...そんなシーンから、なぜか突然酔いつぶれたバーで目覚める(笑)  もはや現実なのか夢なのか過去なのか、すっかり混乱します。少女の歌などの伏線ぽいネタも一切放置で、狙いなのかと思うくらいの収束しない脚本。まさか理解できないのは、ドラマを知らない僕だけなのかなぁ...。

で、ここまでは文句たらたらなのですが、そんなことどうでもよくなるくらい役者たちの演技が面白い!日本映画界を背負って立つ実力派男優たちが、殻を破って冒険してます。楽しんで演じてる様がスクリーンから伝わってきて、ニヤニヤしっぱなし。

主人公の西島秀俊さんと敵対する伊勢谷友介さんが、たった2人で緊張感のある独特の世界観を構築してるのはさすが。そこにぶっとびキャラの松坂桃李さんと長谷川博己さんが、色をつけて印象的にしてる。ここまで狂気に振り切ってくれると、それだけで観に来た甲斐ありってものです。松坂さんのモロヤバと、長谷川さんのおさえヤバの対比のバランスも面白い。終始スクリーンに釘付けでしたよ。役者ってカッコイイ仕事だなぁと、再認識です。カメラの構図と照明もイカしてて、いちいちアートっぽい絵づくりだから、より演者が映えるんだね。

観終わると、役者たちの素晴らしい演技を際立たせるためのはちゃめちゃストーリーなのか??と妙な勘繰りまで浮かんできます。不思議な映画だけど、まぁまぁ楽しめたのでした(笑)
シネオ

シネオ