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ドラゴン危機一発'97のOASISのレビュー・感想・評価

ドラゴン危機一発'97(1997年製作の映画)
3.7
戦いにより記憶を無くした格闘家が、辿り着いた村で盗賊団と戦うという話。

ドニー・イェンが監督、脚本、製作総指揮、アクション監督、主演を務めたアクション映画。
のっけから凄まじい勢いの剣戟アクションが炸裂する。
一人対大人数の戦いだが、一人の男は多数相手に全く引けをとらず互角の戦いを繰り広げ、銃弾によって傷を負い逃げ去って行くというオープニングまでの勢いが、飛ばし過ぎて後が心配になるほど。

物語は、ド兄ーさん演じる老人格闘家マンヒンの元を訪れた青年ベンが、側近であるワイから逸話を聞かされる事から始まる。
そこから過去へと遡り、記憶を無くしたマンヒンが集落の青年ワイと出会い修行をする内に記憶を取り戻して行くという流れ。
記憶を取り戻す事になる別の村の住人とのバトルも、これまた二人対大人数という構図で、ド兄ーさんが鉈をぶん回したり投げたりと、格闘ではなく武器メインなのが残念な所ではあるがそのスピードが恐ろしく早くて目が追いつけないレベルのアクションは迫力がパナい。

途中、マンヒンと恋人だったウェイとのロマンスが始まり、しっとりとした雰囲気に包まれる。
というか、映画は全体的にBGMがクラシック風だったりと大人びた雰囲気で進むのだが、これが激しいアクションと親和性がよろしく無く、気持ち的には熱く燃えたいのだがそれが直ぐに熱を冷ます雨によって掻き消されてしまうという印象だった。
ドニーさんの貪り合うようなベッドシーンが見れるだけで儲けもんではあるのだが。

記憶を取り戻し、舞台は盗賊団のボスであるビッグ・ウルフとの戦いへと移って行く。
刺客達が次々と襲い掛かって来るラストはノンストップで30分を駆け抜け、ド兄ーさんの動きももはや常人の目では捉える事の出来ない領域へと到達する。
マシンガンパンチにマシンガンキックの嵐は、ド兄ーさんの若かりし頃だけあって「イップマン」でのアクションすら凌駕するほどのスピードだった。

刺客が息次ぐ暇も無く襲って来るので、その刺客達は名前すら分からない状態でやられて行くのが残念ではある。
凄まじい俊足で敵陣に突っ込んで行き雑魚をボコボコにする様子といい、ボス的な位置のキャラが良いタイミングで出てくる事といい、ファイナル・ファイトのような構図なのは面白かったが、もっとキャラクター紹介的な場面が欲しかった所である。

そもそも、ド兄ーさんとワイさんが年をとった状態の現代パートが果たしているのか?という疑問も湧いて来た。
ただ、敵役が没個性なのはしょうがないが、ド兄ーさんがブルース・リー並の怪鳥音を響かせて飛び蹴りをカマす画を見れただけでも満足な作品だった。
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