あんがすざろっく

シビル・ウォー/キャプテン・アメリカのあんがすざろっくのレビュー・感想・評価

5.0
「アベンジャーズ」はパート1がむちゃくちゃ面白かった。ヒーローが勢揃いし、それぞれが見せ場を持っていた。
が、続編の「エイジ・オブ・ウルトロン」はどうだったかと言うと、まぁしっちゃかめっちゃか、誰がどんな役割を持ってるかなんて分かんないし、敵も貧弱だし、まず何よりも話の内容をまるで覚えてない程の作品だった。
さて、そんな中で本作だ。
「アベンジャーズ」をタイトルに掲げてはいないものの、このワチャワチャ感は、嫌でも「エイジ〜」を想起させた。
期待半分、不安半分(不安の方が大きかったかな)で
鑑賞した。
まず、想像以上の脚本の見事さに舌を巻いた。
それぞれに主義主張や信念があり、いくらスーパーヒーローのチームとは言え、仲違いもあるし、受け入れられない忠告もある。
その信念に沿ったヒーロー達の行動が描かれていることで、作品が非常にエモーショナルになっている。
なるほどこれは「アベンジャーズ」ではなく、悪魔で
「キャプテン・アメリカ」であって、主軸となるのは
キャップの不屈の信念だ。古き良きアメリカを体現したキャップと、現在のアメリカを投影したようなトニーが仲違いしてしまうのは、ただ映画の見せ場を作る為だけでなく、理想と現実がいかに迎合し難いものか、と伝えてくる。それでも何とか歩み寄りを見せる二人。そこには己の信条を越えた友情が確かに存在するのだが、世界はそれを許さない。この悲壮としか言いようのない結末は、これからアベンジャーズはどこに向かうのか、という不安を観客に残す。はっきり言って、「ダークナイト」以来の衝撃である。
まさかマーベル映画でこんな作品が見られるとは。
重厚なドラマも勿論だが、そこにしっかりアクションを両立させてしまっているのが、本作のすごいところ。
あれだけヒーローを揃えて、空港での両派対決はともすれば何が起きてるのかよく分からないシーンになり兼ねないのを、キャラクターを見事に描き分け、しかもそれぞれの役割がしっかりしていることで、全く頭がこんがらからない。
まぁホークアイにアントマン、スパイダーマンの行動原理は、イマイチ巻き込まれた感が強いものの、作品にコメディ色を持ち込んだことで、作風が重すぎることにならずに済んだ。これは正解かもね。
唯一の欠点と言えば、一つの作品でこれだけの完成度に仕上げてしまって、これから先のMCUは続けられるのか?という、贅沢な不安である。
ホント、これを越えるシリーズ作れるんだろうか。
というぐらい、大傑作でした。

MCU 13作目
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