枕賢

スポットライト 世紀のスクープの枕賢のレビュー・感想・評価

4.0
 最後に出る字幕でのみ示されるが、この映画のテーマであるペドファイル神父問題は世界中のカソリック界に波紋を広げ続け10年を経て遂にバチカンに到達しベネディクト14世の生前退位という事態にまで発展したという。
 ベネディクト14世の退位は2012年だか2013年でかなり最近の出来事なのでまだ記憶に新しく、そのの引き金となった新聞報道を描いた映画、かつアカデミー賞作品賞ということでいそいそと映画館に駆けつけたのであった。
 素にもどれば生臭坊主だってみんな知ってても、それはそれ、そういうもんとして殊更お坊さんを糾弾するなんてことはない日本人の感覚からするとちょっと判りづらい、特になんでよりによって性的嗜好としては最悪のペドファイルに神父とあろうものが走ってしまうのか、この映画はそこまで切り込んでくれなかったのが少々残念に感じた。(一人だけ「僕もレイプされたから」と遠因を語る元神父は出て来たが)。作中で再三マイケル・キートンが「俺達は教会と戦ってるんだ」という旨の台詞を述べるだけに、多少長くなってもそこに触れても欲しかった。
 もっともマスコミの仕事は隠蔽された悪事を白日のもとに晒すのが仕事で、悪事の原因まで探るのは別の仕事だと言われればその通りで特に言うことはない。
 ところでなんか70年代っぽいフラットなライティング&撮影だなあと思ったら撮影監督に「大統領の陰謀っぽく」って指示がでてた模様で、なるほどなあと思った。

 ビスタサイズの映画なのにシネスコサイズにスクリーン開けっ放しなのはなんかマヌケなんでなんとかしてほしい。TOHOシネマズがそういう方針で直す気ないのは知ってますがやはり不快なものは不快なのでいつの日か直してくれるまで言い続ける所存です。
枕賢

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