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スポットライト 世紀のスクープのsomaddesignのレビュー・感想・評価

5.0
控えめに言って「傑作」
ボストンの地元紙が暴いた、カソリック司祭の児童虐待と教会の隠蔽。


事実に基づく骨太な社会派ドラマで、実際問題2002年のボストングローブ紙の報道をきっかけに、全米各地〜全世界で同様の被害を訴えでる人が急増。カソリック教会の暗部の露呈、内部改革へ一石を投じる大スキャンダルとなりました。

映画はボストングローブ紙の記者たちが、観客とともに真実に触れる順に、真に暴くべき悪行を知るような多重構造になってると思います。


単に変態神父を一人一人弾劾するんじゃなくて、
その背景にある秘密主義や隠蔽体質に切り込んだり、
これはかなり昔から繰り返されてきた悪循環の一端なのが見えてきます。
(神学校や教会でイタズラされた少年が、大人になってまた少年にイタズラしだすっていう)
2006年に当時共和党下院議員だったマーク・フォーリーが、
長年彼の選対や事務所の手伝いなんかをするインターンと不適切な関係をもったことが報道されて、辞任に追い込まれた事件がありました。インターンの多くは将来政治の世界を目指す大学生や高校生なんですが、彼らに裸の写真をメールするように強要したり、実際に事務所内で性交渉を持ったことも明らかになっています。んで、弁護士を通じて「13歳から15歳まで聖職者からイタズラされた為にこんな人間になった」と語ります。さらに聖職を離れマルタ島で隠遁してた神父を取材すると、マーク・フォーリーと『軽い触りあいっこ』をしてたのを認めた上で、「向こうも喜んでたからイタズラじゃない」と。

悪役かうるさい役の多いリーヴ・シュレイバーが、とても抑制された演技で渋く見せるマーク・バロン新局長役がとにかく素敵。
最終盤のある告白へ「我々は毎日暗闇の中を彷徨ってる。たまに刺す光で、それが間違った道だと気づける」っていう名フォローぶり。今一番理想のボス。
マイケル・キートン、マーク・ラファロは当然の名演ぶり。
マーク・ラファロが怒っても緑色にならないを忘れるくらい、
熱血記者マイケルが乗り移ってて超よかった!

今年の劇場鑑賞、38本目
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